BarTenderアンケートの結果

将来的なサプライチェーンの崩壊を企業が防止するための9つの方法

2021年9月21日


COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は企業が自社のサプライチェーンを見直すきっかけとなったのでしょうか。サプライチェーンの変革は往々にして長期間に渡るものですが、今回のパンデミックにより企業の対応や変化は急速なものとなりました。また、企業がこれまで対策をとらなかった脆弱性についても明らかになりました。

COVID-19以前にどのように業務を進めていたかにかかわらず、将来のサプライチェーンを保護することはビジネスにとって不可欠であり、パンデミック後の企業活動に大きく影響します。

「新型コロナウイルスによるサプライチェーンへの影響を抑えるために現在とっている対応は、そのまま将来的な打撃からの回復力を養うことになります」(マッキンゼー社)。

COVID-19がサプライチェーンに及ぼす影響と、サプライチェーンを将来的な崩壊から守るために企業が講じている対策を正確に把握するため、当社ではアンケートを実施しました。

重要な結論のひとつとして、アンケートの回答者の89%が「COVID-19による影響を受けて危機管理計画を作成し、その全部または一部を実施した」と回答していました。回答者のうち「危機管理計画はまだ作成していないが今後作成予定」と回答したのは9%で、「危機管理計画を作成する予定はない」という回答は2%のみにとどまりました。

圧倒的多数の企業がサプライチェーンを保護するために迅速な対応をとっていることがわかりましたが、当社では具体的にどのような対応がとられているかに注目しました。

ここではアンケートからわかった重要なポイントについて説明します。

 

アンケートの方法

今回のオンラインアンケートの参加者には、米国在住で、大企業(5億ドル以上)のサプライチェーン部門、規制部門、技術部門、製造部門、または同様の部門に勤務する600人が含まれます。

アンケート参加者のうち、次の肩書に相当する職位にあると回答した人は以下の通りです。

  • CTO:5.67%
  • CSCO:4.5%
  • IT担当副社長/役員:24%
  • サプライチェーン担当副社長/役員:10.17%
  • 規制担当副社長/役員:5.83%
  • オペレーション担当副社長/役員:11.33%
  • その他:38.5%

当社のアンケートのサンプルには、小企業から大企業まで含まれています。従業員数の内訳は次の通りです。

  • 0~500:19.17%
  • 501~1,000:26%
  • 1,001~5,000:23.67%
  • 5,001~10,000:12.5%
  • 10,001~:18.67%

 

サプライチェーンへのCOVID-19の影響

企業が受けたCOVID-19の影響が直接的であれ間接的であれ、パンデミックによって企業のサプライチェーンが受けた損失は大きいものでした。Fortuneのレポートによると、2020年の前半には「Fortune 1000 の企業のうち94%でコロナウイルスによるサプライチェーンの崩壊」がありました。崩壊の規模は範囲や期間によって異なりますが、一部のサプライチェーンは完全に機能が停止しし、その他のサプライチェーンでも顧客の需要を満たすだけの資材を調達できませんでした。

機能停止に陥った理由には、従業員に個人用保護具を支給できなかったこと、原材料が不足したこと、売上の減少などがあります。いずれにしても、このような機能停止により多くの人員、商品、業界に影響が波及しました。

何年もの間、多くの企業が時間、労力、多大な投資を費やして複雑な世界規模のサプライチェーンを確立してきましたが、直面しうる障害を予測できていたわけではないようです。予期せぬ世界的なパンデミックに対応するため、企業は将来的な混乱に備えた予防策を講じています。

では、今回のアンケート結果をもとに、企業が将来に備えるための9つの方法を紹介します。

1. パートナーやサプライヤーとの関係を改善する

 

 

将来的なサプライチェーンの崩壊に備えて企業が実施している、または実施する予定がある予防策について、パートナーやサプライヤーとの関係を改善することが最も一般的であり、次の点が危機管理計画の策定であることが今回のアンケートでわかりました。何の対応策も準備していないと回答したのは回答者のうちわずか2.67%で、最近の現象に業界全体で取り組みが進んでいることがわかりました。

GartnerのサプライチェーンアナリストのMiguel Cossio氏によれば、Gartnerはサプライヤー関係管理を「サプライベースとの協力関係を強化するための慎重な企業戦略」と定義しています。サプライヤー関係管理は効果的なサプライチェーンを作る上で欠かせないものですが、COVID-19関連のさまざまな出来事により、サプライチェーンにかかわるすべての人員の関係性や連携を強固にすることの重要性が注目されました。

これにより、企業は自社のサプライヤー関係管理に戦略レベルで注目するようになったものと考えられます。

2. 売上と業務の計画への注目を深める

 

 

「将来的なサプライチェーンの崩壊に備えて企業としてどのような分析や戦略を行っているか」という質問に対して「売上・業務計画への注目を深める」という回答が非常に多く、能力計画がこれに続きます。

売上・業務計画(S&OP)はどのビジネスでも難しい部分です。これにはサプライチェーン内外の構成要素や人が関わり、そのすべてが一体となって機能する必要があります。最近の混乱を踏まえて、S&OPのプロセスを改善することがサプライチェーンの保護にとっても増収増益のためにも重要であることが認識されてきたように思われます。

3. サプライチェーンのトレーサビリティを高めるツールに投資する

 

 

「将来的なサプライチェーンの崩壊に備えてどのような技術を導入しているか」という質問に対しては、サプライチェーンのトレーサビリティを高めるツールを優先しているという回答が多くありました。

企業にとってサプライチェーンの透明性はもはや必須となっています。DeloitteのDavid Linich氏は次のように話しています。「透明性とは単に大規模なサプライチェーンの可視性を高めるだけではありません。このプロセスでは、企業は可視性の向上により得られた考察に基づいて、効果的なリスク管理のための対策を講じるのです」。  

また、以前よりリモートワークが普及した現在では、リモートワークのためのツールも大幅に増加しています。今回のアンケートでは、回答者の52.5%が「勤務先の企業が2020年以降、対面型の環境から分散モデルまたはリモートモデルに移行している」と回答しています。

この急激な移行のために、各組織では迅速に変革を進め、従業員がさまざまな場所から同じ作業をできるようにするためのツールを入手して実装する必要がありました。新しい仕事環境への順応が不可欠となったのです。

4. クラウドロジスティクスなどの自動化テクノロジーを利用する

 

 

将来的なサプライチェーンの崩壊を防ぐために各企業が自動化テクノロジーの導入を進めていますが、アンケートの回答の中ではクラウドロジスティクスと人工知能(AI)の2つが最も多い回答でした。

デジタル化や自動化の普及により、大幅な効率化や、サプライチェーン全体でかかる時間の短縮が可能になりました。Gartnerは「今後数年で、組織の80%以上がデジタルエコシステムの開発を計画すると考えられています。これにより、最も重要なサプライチェーン戦略(回復力、アジリティ、パーパスドリブンな組織)を可能にし、最終的には顧客エクスペリエンスを改善できます」と話しています。

5. 生産と調達の国内回帰でリスクを抑える

 

 

回答企業のうち80%が、将来のリスク軽減のため、生産と調達を国内に戻したか、戻す計画があると回答しています。国内回帰のための取り組みには、サプライチェーンの高度な管理、効率性、安定性という具体的な目標がありました。

サプライチェーンの複雑化にともない、世界市場により深く関わるシステムやサプライヤーの分析はサプライチェーンのリスクの軽減と回復力の向上の手段となりました。

多くの企業、ひいては多くの消費者が、COVID-19を原因とする生産ラインの停止による悪影響を受けています。サプライチェーンの遅れや断絶を回避するためにサプライヤーベースの国内回帰と多様化が必要であることは誰の目にも明らかとなりました。『Harvard Business Review』の「Global Supply Chains in a Post-Pandemic World」では、「リスクが中程度または高い調達元(1件の工場、サプライヤー、地域)に重度に依存している問題に対応する方法は、当然ながら、同じリスクが発生する恐れのない場所で調達元を増やすことである」と指摘されています。

6. サプライヤーを最優先で評価と計画の対象とする

 

 

各企業は将来的な崩壊を防ぐための戦術として複数の調達元の確保やサプライチェーンの多様化を進めていますが、アンケートの回答で一番多かったのは「サプライヤーを最優先で評価と計画の対象とする」で、その次が「予備のサプライヤーを確保する」でした。 

サプライチェーンがサプライヤーに大きく依存していることは明らかですが、事業が順調であればそれも許容範囲でした。COVID-19による突然の崩壊により、計画を適切なものにするにはサプライヤーを考慮に入れる必要があること、さもないと計画の精度が低下し将来的な混乱につながるだけである、ということがこの上なく明白になりました。

 

7. 低コストのサプライヤーより柔軟性と回復性が高いサプライヤーを優先する

 

 

今回のアンケートでは、次の文にどの程度同意するかについて質問してみました。「将来的なサプライチェーンの崩壊を防ぐために、自社では低コストのサプライヤーより柔軟性と回復性が高いサプライヤーを優先している」大部分は「非常にそう思う」または「そう思う」と回答しました。

サプライヤーを選ぶ上でコストは常に重要な要素ではありますが、それだけがすべてではないということをこの一年で企業は学びました。低コストのサプライヤーを探すことから柔軟性と回復性が高いサプライヤーを確保することに重点がシフトしています。

8. 新しい技術の導入によりサプライチェーンを透明化

 

 

サプライチェーンの透明化のために企業が実施している、または実施予定の対応について、今回のアンケートの回答では新しい技術の導入とコミュニケーションの緊密化の2つが最大の優先事項となっていました。興味深いことに、この2つの優先事項には強い相互関係があります。

サプライチェーンの透明化のための新しい技術により、サプライチェーン内でのコミュニケーションも緊密化します。透明性とコミュニケーションの向上により、組織の情報収集が改善し、それによりサプライチェーンに関する計画とその実行も改善されます。サプライチェーンの透明化により、効率性の向上とリスクの軽減が見込まれるだけでなく、収益性や顧客満足度も向上します。

9. 従業員の健康と福祉の優先が必須である

 

 

これまで述べてきた戦略の他に、回答企業の多くは、新しい働き方を支援することにより、従業員の健康と生産性を維持するための変革を進めてきたと回答しています。

今回のアンケートでは、次の文にどの程度同意するかについて質問してみました。「COVID-19の結果、自社では新しい働き方を支援することにより、従業員の健康と生産性を維持するための変革を進めてきた」

「COVID-19の結果、自社では従業員の健康と生産性を維持することを目的として新しい働き方を支援するための変革を進めてきた」という点について、回答企業のほぼ半分が「非常にそう思う」、38%が「そう思う」と回答しました。

全体としてこの傾向は複数の業界にまたがっており、McKinseyのレポートによれば「96%の企業が世界中で従業員に精神衛生に関するリソースを提供しています」。企業は従業員の福祉がサプライチェーンや最終的な収支にさまざまな形で影響することを理解しています。従業員の健康を維持できれば生産性や作業品質が向上し、関係も改善します。これらのメリットはミクロレベルだけで見られるものではなく、サプライチェーン全体に好影響を与えています。

BarTenderでサプライチェーンを保護

安全性と信頼性の高いラベリングシステムを導入することで、将来的なサプライチェーンの崩壊からビジネスを守るために事前に対応できます。BarTender®ソフトウェアには既存のシステムやワークフローを統合でき、それにより企業は安全、セキュリティ、効率性、コンプライアンスを改善できます。詳しくは、当社にお問い合わせいただくか、BarTenderの無料トライアル版をダウンロードしてラベル管理システムの全機能を体験してください。

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